③ 節句・節気の縁起物
一年を通して行われる節句や季節の行事には、それぞれ厄除けや健康長寿、五穀豊穣、子どもの成長を願う「しるし」としての縁起物があります。 「毎年なんとなくやっている行事」に込められた意味を知ると、季節の移ろいが少しあたたかく感じられます。
- おせち料理(1月) – 年初めにいただく祝い膳。黒豆・数の子・田作りなど、一品ごとに健康や豊作への願いが込められている。
- お飾り(1月) – しめ飾りや輪飾りなど。歳神様を家に迎え入れ、厄を寄せつけない結界の役割を持つ。
- お年玉(1月) – 元々は歳神様から分け与えられる「年玉(としだま)」が起源とされ、子どもの成長と繁栄を願う贈りもの。
- 羽根突き(1月) – 羽根を打つことで、蚊などの害虫・邪気を追い払い、女の子の無病息災を願った遊び。
- 鏡開き(1月) – 鏡餅を割っていただく行事。年神様の力をいただき、1年の無病息災を願う。
- 鏡餅・橙(だいだい)(1月) – 鏡餅は年神様の依り代、橙は「代々」家が続くようにとの子孫繁栄の象徴。
- 御汁粉・善哉・黄粉餅(1月) – 小豆の赤色には魔除けの力があるとされ、寒い時期の縁起の良い甘味として親しまれてきた。
- 榊(サカキ)(1月) – 神前に供える常緑樹。枯れない緑が「変わらぬご加護」を象徴する。
- 七草粥(1月) – 春の七草を入れた粥。正月のごちそうで疲れた胃をいたわり、無病息災を願う。
- 凧揚げ(1月) – 空高く凧を揚げることで、子どもの健やかな成長や運気の上昇を願った遊び。
- 注連縄(しめなわ)(1月) – 神聖な場所と俗界を分ける結界。災いが入らないよう家を守る役割を持つ。
- 独楽廻し(1月) – よく回る様子から「物事がうまく回る」ことを願う縁起の遊び。
- 福笑い(1月) – みんなで笑いながら遊ぶことで、「笑う門には福来る」を体現する正月遊び。
- 福袋(1月) – 何が入っているか分からない「お楽しみ」を詰めた袋。新年の運試しと福集めの象徴。
- 門松(1月) – 松・竹・梅などで作る正月飾り。歳神様をお迎えする目印となる。
- 節分(2月3日) – 季節の変わり目に鬼を払い、福を呼び込む行事。「鬼は外、福は内」の掛け声で知られる。
- 大豆(節分) – 豆まきに使う炒り豆。鬼にぶつけることで邪気を払い、一年の厄除けを願う。
- 柊鰯(ひいらぎいわし)(2月) – 鰯の頭と柊の枝を門口に挿す飾り。鬼が嫌う臭いとトゲで邪気の侵入を防ぐ。
- 桃の節句(3月3日) – 女児の健やかな成長と厄除けを願う行事。上巳の節句がルーツ。
- 雛人形(3月) – 子どもの厄を身代わりに引き受けてくれる存在として飾られる。
- 桃の花(3月) – 魔除けと長寿の象徴。春の訪れとともに飾る縁起の花。
- 菱餅(3月) – 桃色・白・緑の三色で、邪気払い・清浄・健康を表すといわれる。
- 灌仏会(かんぶつえ)(4月8日) – 釈迦の誕生を祝う行事。花まつりとも呼ばれ、甘茶を灌ぐ習わしがある。
- 甘茶(4月) – 灌仏会で誕生仏にそそぐ甘いお茶。無病息災を願って飲まれることも多い。
- こいのぼり(5月) – 鯉が滝を登る伝説にちなみ、子どもの出世と健やかな成長を願う。
- ちまき(和菓子)(5月) – 端午の節句に食べる縁起菓子。厄除けや長寿の願いが込められている。
- 菖蒲湯(5月) – 菖蒲の香りで邪気を払う風習。「尚武」と掛けて男児の成長を祝う意味合いも。
- 端午の節句(5月5日) – 男児の健康と武運長久を祈る節句。鎧・兜や武将人形を飾る。
- 柏餅(5月) – 柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから、家系が絶えない象徴。
- 武将人形・兜(5月) – 子どもを守る「鎧」の象徴として飾られる守り神。
- てるてる坊主(6月) – 次の日の晴天を願って吊るす人形。農作物の実りや行事の成功を祈る意味もある。
- 七夕(7月7日) – 織姫と彦星が年に一度出会う日。願い事を書いた短冊を笹に飾る。
- 笹・竹(7月) – 清らかで生命力の強い植物として、願い事の依り代となる。
- お盆(8月13〜16日) – 祖先の霊を迎え、感謝を捧げる行事。送り火・迎え火なども行われる。
- 鬼灯・酸漿(ホオズキ)(8月) – 赤い実を提灯に見立て、祖先の霊が迷わず帰るための灯りとされる。
- 真菰馬(まこもうま)(8月) – 真菰で作った馬や牛。祖先の霊が乗る乗り物として供えられる。
- 赤飯(8月ほか) – 赤い色で邪気を払い、祝い事全般で食されるおめでたいご飯。
- 蓮の花・実・葉(8月) – 仏教と深く結びついた植物で、清浄さ・極楽浄土の象徴。
- 盂蘭盆(うらぼん)(8月13〜16日) – 仏教行事としての正式なお盆。先祖供養を行う期間。
- ススキ(9月) – 中秋の名月に供えられる。稲穂の代わりとして豊作と魔除けを表す。
- ぼたもち・おはぎ(9月ほか) – 彼岸に供えられる小豆菓子。赤色で邪気を払う。
- 栗(9月) – 「勝ち栗」として武家に好まれたほか、秋の実りの象徴。
- 月見(9月) – 収穫への感謝と豊作祈願を込めて月を愛でる行事。
- 月見団子(9月) – 満ち欠けする月を模した団子。豊穣と一家円満を祈る供物。
- 彼岸(後彼岸:9月20日〜26日) – ご先祖を想い、仏前に手を合わせる期間。心を整える節目。
- 枝豆(9月) – 未熟な大豆として、五穀の恵みや収穫を感じる食材。
- 魚(10月) – 恵比寿講などで供えられる魚は、大漁と商売繁盛の象徴。
- 恵比寿講(10月19・20日) – 恵比寿神に豊漁・商売繁盛・五穀豊穣を祈る行事。
- 大根・牛蒡などの根菜(10月) – 土の力を受けて育つことから、根を張る暮らしや健康長寿の象徴。
- 七五三(11月15日) – 子どもの成長を祝う行事。3・5・7歳で神社に詣でる。
- 千歳飴(11月) – 長く伸びる形に「長寿」「細く長く健やかに」の願いが込められた飴。
- 鯨汁(12月) – 地域によっては年末の滋養食。豊漁や海の恵みへの感謝の意味合いも。
- 大晦日(12月31日) – 一年の締めくくりとして、穢れを祓い、新年を清らかに迎える日。
- 冬至(12月22日頃) – 日照時間が最も短い日。ここから陽が再び伸びる「復活」の節目。
- 南瓜粥(かぼちゃがゆ)(12月) – 栄養豊富なかぼちゃを食べて、風邪をひかないよう願う習わし。
- 年越し蕎麦(12月) – 長い麺に「細く長く生きる」願いを託し、一年の厄を断ち切る意味もある。
- 煤払い(12月13日) – 家中の煤やホコリを払い、一年の穢れを落とす大掃除。
- 柚子湯(12月) – 柚子の香りで厄を落とし、無病息災を願う入浴の風習。
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