【3】春の風と音にゆれる世界
春風は人の心をやさしくなでるように吹き、鳥のさえずりは命の喜びを知らせてくれます。風の名前や音の表現には、自然と人とのつながりを感じさせる美しさが込められています。
- 春風(はるかぜ)
春に吹く柔らかく暖かい風。出会いや旅立ちを感じさせる風でもある。 - 薫風(くんぷう)
若葉の香りを含んだ初夏の風。清々しく爽やか。 - 風そよぐ(かぜそよぐ)
風がやさしく木々や草花を揺らす様子。春らしい音の表現。 - 春の音(はるのおと)
鳥のさえずりや風の音、草木のざわめきなど春に感じる自然の音全般。 - 囀り(さえずり)
春になって鳥たちが元気に鳴く様子。命の喜びを感じさせる音。 - うぐいす鳴く
春の訪れを告げる鳥・鶯(うぐいす)の鳴き声。「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれる。 - 春嵐(しゅんらん)
春に突然吹く強い風。変化の兆しや躍動感を感じさせる。 - 風に舞う
花びらや落ち葉が風に乗って舞い散る様子。儚くも美しい春の景。 - 春のさざめき
木々や生き物の小さな声が感じられるような、春特有の静かなざわめき。 - 風光る(かぜひかる)
春の風が陽の光を受けて、きらきらと輝くように感じられる美しい表現。 - 春のささやき
風や自然が語りかけるように感じられる、静かでやわらかな感覚。 - そよ風(そよかぜ)
やわらかく、ほほにそっと触れるような春の微風。 - 春のざわめき
人々の動きや自然の気配が生き生きと聞こえる春の背景音。 - 木の芽風(このめかぜ)
木々の芽吹きを促すような、春先のあたたかな風。 - 春一番(はるいちばん)
春の訪れを告げる最初の強い南風。季節の変化を象徴する風。 - 東風(こち)
春に東から吹く風。和歌では「こち吹かば…」と春の象徴として詠まれる。 - ひばり舞う
ヒバリが春の空高く舞い上がって鳴く様子。田園の春の象徴。 - 風花(かざばな)
風が花びらを舞い上げる情景。雪のようにも見える繊細な美しさ。 - 花信風(かしんふう)
春、花の咲く順に合わせて吹くと言われる風(中国の二十四番花信)。 - 風の戯れ(かぜのたわむれ)
春の風が花や草を揺らして遊んでいるように見える様子。 - 春の鼓動(はるのこどう)
風や音、生き物の動きから感じられる春の生命のリズム。 - 風薫る(かぜかおる)
春から初夏にかけて、風が草木の香りを含んで吹く様子。爽やかな春の表現。
【4】春の香りと気配
春は香りの季節でもあります。梅や沈丁花の香り、土のぬくもりを運ぶ風、花の香気に包まれるひととき――言葉を超えた感覚の世界を、古人は繊細な言葉で表してきました。
- 花の香(はなのか)
春の花が放つ甘くやさしい香り。風に乗って運ばれてくる。 - 梅が香(うめがか)
梅の花の香り。春の初めを感じさせる清らかで上品な匂い。 - 春の匂ひ(はるのにおい)
芽吹く草木、土のぬくもり、すべてが混じり合った春の気配。 - 沈丁花(じんちょうげ)
春先に強く香る花。香りで春の訪れを感じる人も多い。 - 芳春(ほうしゅん)
「かぐわしき春」。漢詩などで使われる、香り高い春の美称。 - 花の息吹(いぶき)
花が咲こうとする気配や、自然の息づかいを感じる表現。 - 春の気配(けはい)
目に見えないが、そこに確かに存在する春の存在感。 - はるの息吹(いぶき)
草木や大地が目覚める気配。命の息づかいを表す。 - 土の香(つちのか)
春先に感じられる、湿った土や芽吹く草の香り。 - 花便り(はなだより)
花が咲き始めたという知らせ。遠くから感じられる春の到来。 - 春の気(き)
春という季節がもつ目に見えない力や雰囲気。 - 春の息(はるのいき)
春の空気がそっと触れるような、やわらかな息づかい。 - 春薫る(はるかおる)
春の風に草木や花の香りが混じり、心を包み込む様子。 - 梅の薫り(うめのかおり)
梅の花から漂う上品で清らかな香り。春の始まりを告げる。 - 風光る(かぜひかる)
春の風が光を含んで輝くように感じられる美しい表現。 - 春の温もり(はるのぬくもり)
空気や日差しから感じられる優しいあたたかさ。 - 芽吹きの気(めぶきのき)
新芽が生まれる瞬間に漂う生命力と春のエネルギー。 - 春の兆(はるのきざし)
目には見えなくても、空気や香りから感じられる春の訪れ。 - 春の息吹き(はるのいぶき)
自然全体が目覚めるような生命の脈動を感じさせる表現。 - 春浅し(はるあさし)
春になったばかりで、まだ冷たさの残る微妙な気配。
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