私たちが日々抱く「喜び」「怒り」「悲しみ」「驚き」といった感情は、日本語の豊かな語彙によって繊細に表現されてきました。
現代語だけでなく、『源氏物語』などの古典文学に登場する古語にも、心の動きを美しく伝える言葉が数多くあります。
ここでは、感情をあらわす言葉をカテゴリごとに整理し、それぞれの意味やニュアンスをわかりやすく解説します。
日本語の奥深い表現を知ることは、日常生活をより豊かにし、文化や文学への理解を深める大きな手助けとなるでしょう。
感情をあらわす言葉 一覧
① 喜び・幸福をあらわす言葉
人がうれしいと感じる瞬間や、幸せな気持ちを示す表現をまとめます。「喜ぶ」「楽しい」など日常的な語から、「欣喜」「有頂天」といった文学的な語まで、ニュアンスの強弱や使い方を知ることで自分の感情をより豊かに表現できます。
- 喜ぶ(よろこぶ)― うれしい気持ちを表す基本的な語。
- 嬉しい(うれしい)― 心が満たされる感情。
- 楽しい(たのしい)― 心が明るく弾む気持ち。
- 幸せ(しあわせ)― 満ち足りた幸福感。
- 幸福(こうふく)― 精神的・物質的に満たされた状態。
- 有頂天(うちょうてん)― 大喜びで夢中になる様子。
- 愉快(ゆかい)― 気持ちが楽しく晴れやか。
- 満足(まんぞく)― 望みが叶って心が満たされること。
- 嬉々(きき)― 生き生きと喜ぶさま。
- 欣喜(きんき)― 心から喜ぶこと。
- 至福(しふく)― この上なく幸福なこと。
- 狂喜(きょうき)― 我を忘れるほど大喜びすること。
- 歓喜(かんき)― 大きな喜び。仏教用語としても用いられる。
- 慶び(よろこび)― 慶事や祝いごとに使われる格式高い表現。
- 喜悦(きえつ)― よろこび楽しむこと。文語的な響き。
- 嬉しさ(うれしさ)― 嬉しい気持ちの程度を示す名詞。
- 感激(かんげき)― 深く心を動かされて喜ぶこと。
- 微笑(びしょう)― ほほえむこと。喜びや優しさの表れ。
- 喜色(きしょく)― 喜びが表情に現れること。
- 笑顔(えがお)― 喜びや楽しさが表情に出たもの。
② 怒り・憤りをあらわす言葉
不満や怒りを示す語は多く、日常会話から文学作品にいたるまで幅広く用いられます。「腹立つ」「憤慨」といった一般的なものから、「瞋恚(しんい)」など仏教用語に由来する古語も含め、場面ごとの適切な言い回しを整理します。
- 怒る(おこる)― 腹を立てること。
- 怒り(いかり)― 怒る感情そのもの。
- 腹立つ(はらだつ)― 不快で我慢できない気持ち。
- 憤る(いきどおる)― 不正や理不尽さに対して強く怒る。
- 激怒(げきど)― 激しく怒ること。
- 憤慨(ふんがい)― 不当な扱いや不正に強く憤ること。
- 怒号(どごう)― 大声で怒鳴ること。
- 怒声(どせい)― 怒りを込めた声。
- 怒気(どき)― 怒りに満ちた気配や雰囲気。
- 瞋恚(しんに)― 仏教用語で、強い怒りや恨みの心。
- 激昂(げっこう)― 感情が高ぶり怒りに震えること。
- 憤怒(ふんぬ)― 強い怒りの気持ち。
- 憎悪(ぞうお)― 強く憎み怒る心。
- 憤激(ふんげき)― 怒りが極限に達すること。
- 怒髪天(どはつてん)― 怒りが爆発して髪が逆立つさま。
- 腹わたが煮えくり返る(はらわたがにえくりかえる)― 激しい怒りをたとえた表現。
- 怒涛(どとう)― 怒りが大波のように押し寄せるさま。
- 怒気を帯びる(どきをおびる)― 言葉や態度に怒りがこもること。
- 立腹(りっぷく)― 腹を立てること。
- 憤怒(ふんぬ)→既出なので別を追加
- 激憤(げきふん)― 激しい怒り。
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